ポンプ開発ツアー開催まで、そしてこれから

ポンプ開発のはじまり

2015年10月、インドネシアのスンバ島にあるワインガプのレストランでLIFE正会員の鈴木さんとスンバ島の水問題について話し合っているうちに、「スンバ島の人たちが水を使えるようになるには自分たちでポンプを作るしかないんじゃないか」ということになりました。それ以来9年が経ちました。はじめの何年かは協力者を集めるのに時間を費やしてしまいました。電気もガソリンも使わず、スンバ島で手に入る材料だけで組み立てるポンプをどうやって作ったら良いのか。民間企業や大学など協力してもらえそうなところに掛け合いましたが、なかなか参加してくれる人には巡り合いませんでした。

ベンさんとの出会い

そんなある日。2021年1月、LIFEに届いたボランティア希望の一本のメール。ベンさんでした。ニュージーランドの大学を出て英語ができるという日本の企業に勤める会社員。日本国内で思うように協力者を見つけられず行き詰まりを感じていた私たちは、水をくみ上げる装置についてベンさんに英語で書かれた文献を探すお手伝いをお願いしました。そして見つけてくれたのが、コロンビアの大学で書かれた一つの論文でした。そこには、私たちがのちに実際に作り上げることになるポンプの概要が書かれていました。しかし、ポンプの仕組みについては書かれていましたが、肝心のコイルのサイズやホースの巻き数など数的なものは書かれていませんでした。この数値が判明しないと、ポンプの設計に進めません。再び壁にぶつかった私たちは、ある日、ニュージーランドの会社に転職するため日本から引っ越そうとしていたベンさんとミーティングの機会を持ちました。その際にベンさんがニュージーランドで手伝ってくれる人を探したいと言ってくれたのです。そして、見つかったのが当時ニュージーランドの大学で先生をしていたロハンさんです。最終的にロハンさんがコイルのサイズと巻き数の関係を導き出してくれました。

日本での組み立てと実験

ロハンさんが導き出した計算式をもとに2023年1月より芝浦工業大学の学生さんをメインに組み立てが始まりました。2月には組み立てが終わり、3月には鈴木さんの会社のビルで実験、そして4月には許可を得て多摩川で実験を行いました。結果は大成功。川の流れる力だけで水をくみ上げることができました。大学生と社会人のボランティア約10人がついに念願のポンプを作り上げることに成功したのです。

大学生による組み立て
ビルでの実験
川での実験

スンバ島での組み立てと実験

日本での実験が成功したので、芝浦工大の学生さんたちに設計図やパーツリストを英語で作ってもらい、スンバ島の協力NGOであるラジオMAXに送りました。2023年10月には、ラジオMAXと同じく現地協力NGOであるMARADAのスタッフも参加しワインガプにて設計図通りにポンプを組み立てました。スイベルジョイントというある一つの部品だけがスンバ島で入手することができませんでしたが、日本から持って行った部品を使うことによりポンプが出来上がりました。これが私たちが開発したポンプの第1号機になります。組み立てが完了したのがちょうど雨季に入り川の水かさが増す時期だったので、乾季に入って川の水量が減るまでしばらく待ちました。そして、2024年7月スンバ島の川にポンプを置いて水をくみ上げる実験に入りました。水はポンプ設置と同時に汲みあがりましたが、2週間ほど経過するとポンプの一部が破損しました。

組み立てをする現地NGO
組み立てをする現地NGO
川での実験、強度が弱かったのか一部が破損した

日本での再設計

ラジオMAXからの破損の報告や組み立てた際の意見などを取り入れて、芝浦工大の学生さんたちが再度ポンプを設計してくれました。そして、9月に現地へ渡航して日本人とスンバの人たちが協力してポンプを組み立てて実験をする『ポンプ開発ツアー』を開催することも決まりました。クラウドファンディングを行い資金集めに成功しました。さらに三菱UFJ国際財団とLUSHチャリティバンクからも資金提供をいただきました。ラジオMAXには、ツアー開始前までに組み立てに必要な材料を買いそろえ、指定のサイズに合わせて材料をカットしておいてもらいました。

『ポンプ開発ツアー』の開催

そして、2024年9月、長い間「ポンプを作るぞ!」と私たちにはっぱをかけてくれた正会員の鈴木さんやニュージーランドで頑張ってくれたベンさんも含めてスンバ島へ渡航しました。現地では1号機の修理の他、2号機と3号機の組み立てを行いました。参加者の皆さんが毎日真剣に取り組んでくださったので、私たちが長年思い描いていたポンプがついにスンバ島の川で水を汲み上げることに成功しました。私たちが帰国してからになりますが、小さめのサイズで作った2号機の一部が破損しました。私たちが滞在している時に修理のやり方を伝えてあったので、現地NGOラジオMAXによりすでに修理が完了しています。また、ラジオMAXは2号機に腐食防止のペンキも塗ってくれました。

スンバ島の人たちと一緒に組み立てをする参加者
組み立てが終わった2号機
実験のため川に下ろす3号機

ポンプの今後

現在、現地協力NGOのラジオMAXには、噂を聞きつけた村から自分の村にこのポンプを置かせて欲しいという要望が届いているそうです。私たちのポンプはかなり重量があり山深い村に搬送するには重たいという課題があります。2025年からは村に設置しつつさらに改良できるように現地NGOと引き続き協力して、もっと多くのスンバ島の人たちが水を使えるようにしていきたいと考えています。

おわりに

ここまでたどり着けたのはご寄付をいただいた皆さん、ポンプ開発に関わってくださったボランティアの皆さん、そして、ポンプ開発ツアーに参加し朝から暗くなるまでポンプの組み立てや実験に携わったツアー参加者の皆さんなど様々な形でこの活動にご協力いただいた皆さんのおかげです。ツアーで水を汲み上げるという目標は達成しましたが、私たちのチャレンジはまだしばらく続きます。これからも多くの方々にLIFEのポンプ開発に関心を持っていただきたいと願っています。このポンプが完成すれば世界中の水へのアクセスに苦しむ人たちの役に立てるかもしれません。そのために、私たちのこの活動をもっとたくさんの方に知っていただきたいと思っています。これからもご支援よろしくお願い申し上げます。

ご寄付のお願い

引き続きポンプの開発を継続するため、そして農業や生活に水を使えるようにするため、スンバ島に暮らす人々には支援の継続が必要です。皆さまから引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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